🩺訪問看護におけるスクイージングのスキル〜呼吸を整え、安心を届けるケア〜

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スクイージングとは?

訪問看護の現場では、高齢や疾患によって呼吸機能が低下している利用者さんが多くいらっしゃいます。
そんなときに有効なのが「スクイージング」と呼ばれる呼吸介助の手技です。

スクイージングとは、呼気に合わせて胸郭を圧迫することで、痰を喀出しやすい位置に移動させ、排出を促す徒手的排痰法のひとつです。
実施後には痰が排出されやすくなり、呼吸が落ち着き、利用者さんの表情が穏やかになることもあります。

また、人工呼吸器管理下で行う場合には1回換気量の増加や無気肺の改善、肺コンプライアンス(膨らみやすさ)の向上が期待されます。
医師や医療機器の支援がすぐに得られない在宅環境において、スクイージングの知識と技術を身につけておくことは、安心・安全なケアの提供につながります。


スクイージングの手順とポイント

① 体位調整

痰の貯留部位をアセスメントし、体位ドレナージを併用して痰の貯留部位が上になるように体位を整える。

② 手掌の位置

上葉の場合:第4肋骨より上部に両手を左右対称に置く。

中葉・下葉の場合:体位に応じて手の位置を調整する。

③ 圧迫の実施

呼気の開始に合わせて軽く圧迫し、徐々に力を強める。
呼気終末では絞り出すように圧迫する。
圧迫は胸郭の動き(上部なら前後、下部なら側方)に合わせて行う。

④ 吸気時は圧迫を解除

利用者さんの吸気とともに圧迫を解除し、胸郭の拡張を妨げないように注意する。

⑤ 効果判定

実施後は以下の変化を確認し、効果を評価する。

  • 痰の排出量や性状
  • 呼吸音の変化
  • SpO₂やPaO₂などの数値
  • 呼吸の安定や表情の変化

私が大切にしている3つのポイント

1. 呼吸器の解剖を理解する

スクイージングは、呼吸の仕組みに基づいた手技です。
息を吸うと胸郭が広がり、吐くと胸郭が縮みます。
その際、肋骨や呼吸筋がどのように動いているかを理解しておくことで、利用者さんの反応や効果をより深く感じ取ることができます。

この理解が、私にとって「呼吸介助の奥深さと面白さ」を感じる部分でもあります。


2. 呼吸を観察する

呼吸は、誰もが行っている**バイタルサイン(生命兆候)**のひとつ。
浅い・深い・穏やか・速い・不規則など、その状態から多くのことが読み取れます。

「少し緊張しているのかな?」
「今日は気持ちが穏やかそう」
「呼吸が浅くて眠れていないのかも?」

スクイージングを通して呼吸を観察することで、利用者さんの心身状態を理解し、傾聴や睡眠ケアなどより深い関わりへとつなげることができます。
日常生活でも、相手の呼吸に意識を向けることは「相手を知る」きっかけになります。


3. 手のひらを添えることがもたらす癒し

スクイージングをスキンシップの一形態として捉えると、次のような効果が期待されます。

  • オキシトシン分泌の促進:リラックスやストレス軽減
  • 安心感・幸福感の増進
  • 体温の共有によるぬくもり効果

手のひらを通して、利用者さんと心地よい時間を共有できるのも、この手技の魅力です。


まとめ 〜個別性を大切に〜

スクイージングを受ける利用者さんは、呼吸機能・体型・体力などがそれぞれ異なります。
教科書的な手順はあっても、実際には個別性に合わせた対応が必要です。
また、胸部外傷や骨粗鬆症など、スクイージングが禁忌となる場合もあります。

私自身もまだまだ学びの途中。
利用者さん一人ひとりの反応を丁寧に確認しながら、
安心して穏やかに過ごしていただけるよう、技術と知識を磨いていきたいと思います。


ポイント

  • スクイージングは徒手的排痰法のひとつ
  • 呼気に合わせて胸郭を圧迫し、痰の排出を促す
  • 呼吸器の解剖理解・観察力・スキンシップの意識が重要
  • 利用者ごとの個別性を尊重して行うことが大切

🩷執筆:訪問看護師まよっき/プライベートナースYour Smile


🩺まよっきオススメ文献

呼吸介助やスクイージングをさらに深めたい看護師さんへ📚

🔹『吸引・排痰法 看護師へい』

著:看護師へい(小林洋平)石塚睦子

👉 シンプルに絵が可愛くて見やすい。好きな一冊。さらに実践的ケアが網羅。

🔹呼吸音聴診ガイドブック: 見る・聴くWeb付録付

著:山内 豊明

👉 スクイージングはまず痰を探せ。解剖や実際の音まで学べる。

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